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クローン病

カテゴリー:内視鏡| 2024.07.07

クローン病とは

クローン病とは小腸や大腸の粘膜に慢性的な炎症を引き起こす病気で、「炎症性腸疾患」の1つです。炎症性腸疾患には他に潰瘍性大腸炎などの病気があります。

発症率は10万人に27人程度とされており、日本では指定難病の1つです。10代~20代での発症が多く、男性の方が女性よりも2倍程度発症しやすいことも知られています。

 

クローン病の症状

小腸や大腸に炎症がおこることでお腹が痛くなる便に血がまじる下痢体重減少など様々な症状が生じますが、症状は人によって大きく異なります。

クローン病の多くは小腸や大腸に発症し、強い炎症により潰瘍(腸の粘膜の一部がえぐれること)が形成されることで腹痛・下痢・血便などのお腹の症状を引き起こしたり、発熱や貧血や体のだるさなど全身の症状を引き起こすこともあります。また小腸に炎症が起こることで栄養が吸収しづらくなり、症状が長引く場合は体重減少などがみられることもあります。

さらに重症な場合には潰瘍が深くなり腸に穴があいたり(穿孔)、腸が狭窄して腸閉塞を起こしたり、お腹の中に膿がたまったりすることもあります。また、肛門部には痔瘻をしばしば伴います。

潰瘍性大腸炎は基本的に大腸にのみ炎症が生じる病気ですが、クローン病は口から肛門に至るまでさまざまな消化管に症状が現れることも特徴の1つです。また、1カ所だけでなく、同時にあちこちの臓器に病変がみられることもあります。

消化管以外にも関節や目、皮膚などさまざまな部位に炎症を合併することがあります。

また、これらの症状はいったん改善しても再発を繰り返すことが多いのもクローン病の特徴のひとつです。

 

クローン病の原因

クローン病の原因ははっきりしたことはわかっていません

特定の人種や特定の地域に住む人の発症率が高いことや、同じ家系内で発症者が出やすいことなどから、なんらかの遺伝的な要因があるのではないかと言われています。

また、ウイルスや細菌による感染により発症が引き起こされるという説や免疫のはたらきが過剰になることで発症するという説、腸内環境の変化により発症するという説などいろいろな考えがあります。

何か1つの原因があるわけではなく、上に挙げられた様々な要因が複雑に絡み合ってクローン病を引き起こしているのではないかと考えられます。

 

 

クローン病の検査

小腸や大腸の状態を調べるために画像検査を行います。レントゲン検査やCTなどを行うこともありますが、大腸の内部を詳しく観察するために内視鏡検査(大腸カメラ)を行うことが一般的です。また、クローン病の診断を確定するためには内視鏡検査(大腸カメラ)で病変の部位の細胞を採取し、顕微鏡で詳しく調べる病理検査を行う必要があります。

内視鏡検査(大腸カメラ)では届かない小腸に病変がないか調べる時はカプセル内視鏡という検査を行うこともあります。小腸に狭窄がある場合はカプセル内視鏡がひっかかる事があるため、事前にCTなどで小腸の狭窄があることが疑われる時は、まずパテンシーカプセルという事前確認用のバリウムを固めて作ったダミーカプセルを内服してもらって安全を確認してから検査を行います。

そのほか、体内の炎症や貧血の程度を調べるために血液検査なども平行して行っていきます。

 

クローン病の治療

クローン病と診断された場合は重症度に応じて次のような治療が行われます。

・食事療法

炎症が落ち着いている時はバランスのよい食事を摂るように心がけます。一般的に腸への刺激を抑えるために脂肪分や食物繊維の少ない食事が勧められます。

症状が強いときは絶食にして点滴による栄養管理を行ったり、消化の必要がないレベルまで栄養素が分解してある成分栄養剤を経口摂取したりします。

・薬物療法

過剰な免疫のはたらきにより小腸や大腸に炎症が起こっていると考えられるため、炎症を沈める薬や免疫を抑える薬を使用します。

5-アミノサリチル酸製剤やステロイド、免疫抑制剤など以前から使われていた薬に加え、バイオテクノロジーを用いて作られた特定の分子を標的とした薬剤である生物学的製剤という薬が登場し、症状や病態に合わせてこれらから選択、もしくは組み合わせて治療を行っていきます。

・内視鏡治療

小腸や大腸げ狭窄し、便が通りづらくなる状態(腸閉塞)の場合は内視鏡治療を行うこともあります。内視鏡の先端から出したバルーンを加圧することで狭窄を改善させます。通常の内視鏡(大腸カメラ)では届かない小腸に狭窄がある場合は小腸用のダブルバルーン内視鏡という特殊な内視鏡を用いて治療を行っていきます。

・手術

内視鏡治療で改善しないような狭窄があったり、腸に穴があいたり、お腹の中に膿の塊ができたりしている場合は手術が必要になることもあります。

 

当院ではクローン病を含めた炎症性腸疾患の最先端の治療や研究を行っている阪大病院や兵庫医大と連携を行っておりますので、必要が生じた場合は速やかにご紹介することが可能です。

 

クローン病の予防

クローン病は動物性脂肪やタンパク質を多く摂取する人のほうが発症しやすいことが分かっています。